徳安研&オリンパス社などのプロジェクトに約42億円の交付額!日本医療研究開発機構(AMED)の技術開発事業に採択
情報工学部情報システム工学科の徳安研究室では、内視鏡外科手術を支援するAIシステムの開発に取り組んでいます。内視鏡外科手術では患者さんの心身の負担が軽く、術後の社会復帰が早期化されるため、様々な病気の治療方法として現在も研究が進められています。一方で、手術には高度な知識と技術が必要とされ、手術件数も多いことから、依然として手術中の事故が発生しているというのが現状です。徳安研究室では、AIが主要な臓器を認識し、安全な切離ラインを決定するために必要なランドマークをリアルタイムで術者に提示するシステムの開発を行っています。この研究は、平成29年度日本医療研究開発機構(AMED)未来医療テストベット事業に採択され、昨年12月には世界初となるAIナビゲーションの検証実験に成功しました。今年度(2019年度)、これまでの研究成果がオリンパス株式会社が掲げる次世代外科手術コンセプトInformation Richと融合し、オリンパス(株)が代表機関となって、福岡工業大学(徳安達士教授)、大分大学(猪股雅史教授)、国立がん研究センター東病院(伊藤雅昭先生)、東京大学(佐久間一郎教授)がコンソーシアムを形成し、未来の内視鏡手術システムの実用化と製品化を目指すことが決まりました。プロジェクトチームにはAMEDから、今年度以降、総額42億円余の助成金の交付も予定されています。
内視鏡外科手術は、術者の目と手の機能を拡張し、患者さんの負担を軽減する術式としてこれまで発展してきました。徳安研究室では、大分大学医学部と共同で、手技の鍛錬に特化したトレーニングシステムの開発を行ってきましたが、To Error is Humanの言葉のように、人間である医師もまた失敗します。その失敗の要因を分析したところ、失敗事例の多くが術者の誤認であることがわかり、人工知能によるランドマークの術中教示システムの発想に行きつきました。AMED事業による福岡工業大学、大分大学、オリンパスの開発チームは、まさに産学官・医工連携プロジェクトの成功事例であり、今回さらに国立がん研究センターと東京大学がチームに加わりました。
腹腔鏡下胆嚢摘出手術における4つのランドマーク:切離ライン決定を効果的に補助※画像はモノクロに加工しています。
今年10月28日にオリンパス株式会社石川事業所で開催されたキックオフミーティングでは、関係者約50人が集い、日本の医療機器産業の新たなイノベーション創出を目指し、数年後の市場展開に向けてプロジェクトがスタートしました。
今回の事業において、徳安教授らは大分大学とオリンパス(株)と連携して、AIシステムの適用術式を現在の胆嚢から胃や腸に広げていき、臨床性能試験を踏まえ、市場に向けたソフトウェアのライブラリ化(Information Rich Real Time Library)を担当します。チームでは他にも自律制御型内視鏡スコープやエネルギーデバイスの開発にも取り組み、2024年度以降の実用化を目指していきます。
徳安達士教授
- 第8代工学研究科長
- 情報工学部情報システム工学科
日本医療研究開発機構(AMED)「先進的医療機器・システム等技術開発プロジェクト」採択プロジェクト名<外科手術のデジタルトランスフォーメーション:情報支援内視鏡外科手術システムの開発>
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