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[電気工学科]北川研究室の卒業研究がAPL Materials(インパクトファクター 6.635)に掲載されました(九州産業大学との共同研究)

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工学部電気工学科北川研究室の卒業研究が、米国物理学協会が発行する査読付きオープンアクセス科学ジャーナル「APL Materials」に掲載されました。材料系の学術誌として著名なこのジャーナルのインパクトファクターは6.635です。

”Discovery of ferromagnetism in new multicomponent alloy Ti-Nb-Cr-Ru”
APL Materials 10, 071101 (2022)
著者:Jiro Kitagawa, Masaki Fukuda, Satoshi Fukuda, Kenta Fujiki, Yuki Nakamura, and Terukazu Nishizaki

https://doi.org/10.1063/5.0097770

  • 【背景】自動車のエンジン部品や航空機のジェットエンジンなどには、鉄やニッケルが主成分の合金が使われています。これらの合金では、鉄やニッケルに他元素を少し混ぜて必要な特性を引き出しています。最近、複数の元素を同程度の割合で混ぜた(エントロピーが高い状態)多元素合金が、従来合金よりも優れた特性を示すことで注目を浴びています。これは2004年に提案され、高エントロピー合金と呼ばれています。高エントロピー合金は、従来合金を凌駕する機械的特性、触媒機能、熱電変換特性などを示し、世界的に急激に研究が活発化しています。
  • 【成果】高エントロピー合金は、元素の組み合わせが多く、新奇な物性の発現確率が高くなります。今回、磁性材料を舞台にTi-Nb-Cr-Ru多元素合金でCr(クロム)による強磁性発現という珍しい現象を発見しました。クロムは元素としては反強磁性体ですが、化合物では強磁性体になる可能性があります。しかし数例しか知られていません。しかも今回は、高エントロピー合金で世界初のクロムによる強磁性発現を実現しました。強磁性は鉄によるものが代表的ですが、クロムは鉄よりも強い強磁性を示すことが可能です。今回の強磁性は38Kまで冷却しなければ発現しませんが、高エントロピー合金は物質設計の自由度が高いため、高温で強磁性を発現させることも可能と期待されます。これらの成果は福田匡起さん(2020年度卒)を中心とした4名の卒業研究で得られました。また、強磁性発現を調べるために、直流磁化率測定が必要となりますが、本学では50K以上でしか測定できません。そのため、九州産業大学・総合機器センターにあるSQUID磁束計(2K以上で測定可能)で、理工学部・電気工学科の西嵜照和教授に測定していただきました。

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