【特許番号】第6837682号 【登録日】令和3年2月15日
【発明の名称】高硬度材料のゼロカット加工法および高硬度材料構造物の製造方法
工学部知能機械工学科仙波教授と天本准教授が発明し、特許出願した「高硬度材料のゼロカット加工法および高硬度材料構造物の製造方法」に関する技術発明が特許権を取得しました。
<本特許発明の要約>
「フェムト秒レーザ光をレンズにより集光して高硬度材料の加工表面に照射するに際し、前記フェムト秒レーザ光の焦点位置を、前記加工表面から離れた位置で、しかも、それ以上離れると前記加工表面を加工できなくなる位置から、前記加工表面へ向かって所定の切込み量だけ近付けた切込み位置に設定して加工する切込工程と、前記フェムト秒レーザ光の焦点位置を前記切込み位置から変えないでゼロカットを行うゼロカット工程との連続する2工程を繰り返し行うこと含む高硬度材料のゼロカット加工法。」
本発明によれば、
- 所定の切込み量だけ近付けた切込み位置に設定して切込み加工し(工程1)、この切込み位置でゼロカットを行って切残しを除去する(工程2)という2工程を繰り返し行うことで、高精度に加工表面が除去加工され、自由曲面を含む高硬度材料の三次元微細構造物を製造することが可能となる。
- レンズの倍率が50~100倍であることにより、焦域でのエネルギー密度が上がり、ゼロカット回数を少なくすることができるので、加工速度を上げることが可能となる。
- ミスト噴霧下で加工することにより、被加工物が溶けるのを防止して加工速度を上げることができる。
という効果が得られ、超硬合金等の高硬度材料を高精度に微細加工することを可能にします。
※「ゼロカット加工法」とは、一般に刃物による切削加工で用いられる工法です。刃物による切削では、切削抵抗により刃物が逃げてしまうため、一度の切込加工では削り残しが出てしまいます。そこで、もう一度同じ切り込み量で加工する方法のことを「ゼロカット」と呼びます。レーザ加工では、刃物は使用しませんので刃物が逃げるといった現象は起こりませんが、一度の切込加工では刃物による切削よりもはるかに多くの削り残しが出ます。したがって、切込→ゼロカット→さらに切込→ゼロカット→さらに切込→ゼロカット・・・・を繰り返すという加工法が本発明です