篠栗町と協同で取り組む「篠栗元気もん調査」を基に、「10分未満」の運動も高齢者の介護予防に効果ありとした研究について、
社会環境学科の楢﨑研究室では福岡県糟屋郡篠栗町・九州大学と共同で実施している「篠栗元気もん調査」による研究結果から高齢者の健康づくりに関する新しい知見を発信しています。
楢﨑教授が責任著者となり発表された今回の論文では、自宅などで行える「中高強度身体活動(MVPA)」は、継続時間10分未満のものでも積み重ねることで要介護化のリスクが下がることを初めて実証しました。
これまで、「健康増進のための身体活動」については、WHO(世界保健機関)によって「1回あたり10分以上継続すること」が推奨されてきました。国内でも多くの健康施策においてこのWHOの基準が採用されていますが、高齢者にとって「1回10分以上継続」する身体活動は心理的にも肉体的にもハードルの高いものです。また、各地で新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、健康増進や要介護予防を目的とする各種教室の開催が中止になるなど、高齢者の健康維持のための活動は現在困難に直面しています。こうした中で今回の研究結果からは日常の生活の中でスキマ時間などを活用して少しずつでも中高強度の身体活動を行うことで要介護リスクを軽減できる可能性が明らかにされました。「少しでも」「出来る範囲で」体を動かす。在宅であっても運動を含む日常生活の身体活動量を増やすことで健康は作れる。初めて実証データをもとに明らかにした研究に注目が集まっています。
「Journals of Gerontology」
アメリカで発行された最初の老健学ジャーナル。査読付き科学ジャーナルとしての歴史は古く、設立は1946年。アメリカ国内でも伝統的な老健学雑誌として知られている。Impact Factorは「4.711」
※この研究は今年度(2020年度)、文科省の科学研究費助成事業に採択されています。
「地域在住前期高齢者における要介護化リスクの包括的かつ体系的な解明に向けた疫学研究」※研究は西日本新聞(5月6日:朝刊)yahoo!ニュースなどで紹介されています。
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