工学部電子情報工学科の盧存偉(ろ・ぞんい)教授は三次元(3D)画像解析とAIによる分析技術を生かして津波の正確な規模や到達時間を予測するシステムの開発に取り組んでいます。発生から9年となる東日本大震災では1万5000人を超える犠牲者のうち、9割以上が津波によるものでした。また、今後高い確率で発生すると予測される南海トラフ地震でも10メートルを超える津波が発生する可能性があります。しかし、大地震が発生しても、津波はいつ発生してどのような規模で私たちを襲うのか?従来のブイ式津波計による観測や事前のシミュレーションによる「予測」では襲ってくる津波の正確な実像を把握することは不可能です。盧教授の技術では沖を見張る高性能カメラが実際の津波の「実像」を正確に撮影し、その3D画像をAIが分析。その後「何時何分何秒に」「何メートル何センチで」沿岸に到達するのか、計算を行います。
現在、日中に20キロ先、夜間には10キロ先までの津波の到達を予知できる態勢を整えています。(盧研究室の観測結果を気象庁の観測データと照合したところ、平均誤差はおよそ20センチ以内にとどまっています。)計測装置の設置コストの安さや海の環境に与える影響が低いこともこの技術の利点です。研究室では福岡・玄界灘で24時間海面高を監視する実証実験も既に行っており、技術が実用化されれば、到達の20~30分前に「何時何分に」「何メートル何センチの」津波が「どこに到達するのか」をリアルタイムで予知することができます。
AIが津波の発生を「判定」
カメラで撮影した実際の海面の複数の画像から、それらを解析することで▼海面高:Hs▼各波の高さ:Hvを三次元画像計測により取得します。AIがこれまでに365日・24時間海面を見続けて蓄積&学習してきた平常時の海面や波のデータと照合して、「今発生している波は普段とどう違うのか」分析します。波の高さや形状などの特徴を解析することで、一般の波か、台風による高波か、津波かをAIが自動的に判定。データを使っていち早く、津波を「即」見つけます。
撮影画像と3次元計測:左右2台のカメラ撮影画像を解析し、海面の三次元情報をリアルタイムで取得する。
盧 存偉教授
- 工学部電子情報工学科
- 工学研究科修士課程電子情報工学専攻
- 研究分野:3D画像計測・知能ロボティクス
特許
■特許第5633719号:「三次元情報計測装置および三次元情報計測方法」等登録日 :2014年10月24日
■特許第5633719号:「三次元情報計測装置および三次元情報計測方法」等登録日 :2014年10月24日
文部科学省「私立大学戦略的研究基盤形成支援事業」研究費採択
■研究課題名:「画像技術とレーダ技術を融合した津波計測及び防災・減災システムへの応用研究」
■研究課題名:「画像技術とレーダ技術を融合した津波計測及び防災・減災システムへの応用研究」
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