2023年12月に開催された一般社団法人電子情報通信学会主催「2023年度(第5回)電気設備学会学生研究発表会」において、電気工学専攻1年 田島研究室の学生の研究発表が、「準優秀賞」を受賞しました。研究のタイトルは「LPE YIG膜を用いたスピン熱電発電素子の負荷特性に関する検討」です。身の回りの排熱を利用して発電する熱電発電の技術において、発電時に負荷を与えた際の特性について検討したものです。
「LPE YIG膜を用いたスピン熱電発電素子の負荷特性に関する検討」
近年、今まで活用することのできなかった排熱を回収し、電気に変換する熱電発電の技術に注目が集まっています。その中でも我々はスピントロ二クス技術を応用した熱電発電の技術に着目しました。スピン熱電発電 (STE : Spin thermoelectric)素子は、強磁性絶縁体 (FMI : Ferromagnetic insulator)と常磁性体 (PM : Paramagnetic metal)の2 層から構成されます。我々は、FMI層に液相エピタキシャル (LPE : Liquid phase epitaxy)成長で作成したイットリウム・鉄・ガーネット (YIG)膜を用いました。また、このYIG に、ビスマス (Bi)を置換したBi 置換YIG (Bi:YIG)膜を用いることで、異方性エネルギーの増大による発電量の増大を目指しました[1]。これまでのSTE 素子の研究では、発電電圧の増大に向けた研究が主流となっており、抵抗値接続や電力特性の実験結果を示したものはありませんでした。さらに理論的に導かれた電流の計算式と実測値はかけ離れており、疑問が多く残ります。そこで本稿では、STE 素子にカーボン被膜抵抗器を接続し、抵抗器の端子間電圧からSTE 素子の負荷特性を求めました。
[1]M. Imamura, H. Asada, R. Nishimura, K. Yamaguchi, D. Tashima, and J. Kitagawa, AIP Advances, Vol. 11, pp.035143/1-035143/5, March 2021