2022年度日本液晶学会『論文賞A』受賞
本学工学部生命環境化学科宮元展義准教授の論文が2022年9月に一般社団法人日本液晶学会『論文賞A』を受賞しました。受賞対象となった論文のタイトルは「Perovskite Nanosheet Hydrogels with Mechanochromic Structural Color(力学応答構造色を有するペロブスカイトナノシート水性ゲル)」 で、化学系のトップジャーナルであるAngewandte Chemie International Edition(Vol. 60, pp8466-8471, 2021)に掲載されたものです。
この論文は、宮元准教授が長年研究対象としている液晶状態の無機ナノシートから、弱い力学刺激に応答して色の変わる構造色ゲルなどが得られたことについて報告したものです。本研究では、ペロブスカイトナノシートとよばれる物質を用いて構造色をもつ液晶性コロイドゾルを合成し、さらにこれを水性ゲル化して構造を固定化することに成功しています。得られたゲルに対して、紫外可視分光法・小角X線散乱測定等を行ったところ、ナノシートがゲル膜表面に対して平行に数百nmの周期で配列していることを明らかにしています。この物質は構造色を示し、その色彩は機械刺激によって可逆的に変化することを見出しており、圧力マッピング素子などへの応用も期待されます。以上のことから、本論文が日本液晶学会論文賞A部門に値することが認められ、2022年度液晶学会討論会(2022年9月)にて表彰され、その内容は会誌「液晶」2023年1月号でも紹介されました。
この論文はWenqi Yang さん(北海道大学大学院生命科学院博士課程2年(2020年度本学大学院修士課程生命環境化学専攻修了・宮元研、)(写真下段右)、稲富巧さん(宮元研究室 研究員(受賞当時))(写真下段中央)、加藤利喜さん(東京大学大学院工学系研究科化学生命工学専攻・特任研究員(2020年度本学博士後期課程物質生産システム工学専攻修了・宮元研))(写真下段左)との共著によるものです。