【特許番号】第7127785号 【登録日】2022年8月22日
【発明の名称】情報処理システム、内視鏡システム、学習済みモデル、情報記憶媒体及び情報処理方法
【発明者】徳安達士、松延佑将
従来技術の課題・問題点
現状の機械学習を用いた検出処理においては、病変の種別を画像特徴量に基づいて学習及び検出することは可能であるが、画像において明確な位置形状が表示されない対象物を検出及び表示することはできない。例えば、腹腔鏡下胆のう摘出術では、脂肪や漿膜に隠れた総胆管及び胆のう管、ルビエレ溝、S4下縁を識別する必要があるが、現状は熟練医師の暗黙知が頼りであり、本来胆嚢管を切離すべきところを誤って総胆管を傷つけることで起こる術中合併症等が少なからず発生している。
本発明の効果・特長
本発明によれば、機械学習を用いた検出処理において、画像に明確な位置形状が表示されない対象物を精度良く検出し、その対象物の位置形状を表示できる。また対象物の位置形状を示すアノテーション(関連情報の注釈)が付された教師データにより機械学習することで、熟練医師等の暗黙知に基づく対象物の検出及び表示を実現できる。
本発明の概要
本実施形態の内視鏡システムは、画像中に明確な位置形状が表示されない対象物を検出し、その検出された対象物を示す情報を作業者に提示する。これにより、例えば不明瞭なランドマークの位置形状を示す情報を画像上に提示できる。また、教師データを作成する際に、画像に明確な位置形状が表示されない対象物にアノテーションが付される。例えば、内視鏡下の外科手術に熟練した医師等がアノテーションを行う。(図1)このような教師データによって機械学習された学習済みモデルで対象物を検出することで、熟練医師等の暗黙知に基づく対象物の検出及び表示を実現する。
図2(A)~(C)に、画像中に明確な位置形状が表示されない対象物の一例を示す。図2(A)においては総胆管が、また、図2(B)においては胆のう管が、図2(C)においてはルビエレ溝が対象物となる。なお図2(A)~(C)は模式図であり、実際の臓器又は組織の正確な形状を示すものではない。総胆管及び胆のう管、ルビエレ溝、S4下縁は、腹腔鏡下胆のう摘出術におけるランドマークである。ランドマークとは、手術の手順を進める際に用いられる目印である。本実施形態では、これらのランドマークが対象物としてアノテーションされることで教師データが作成され、その教師データにより機械学習が行われる。
そして、内視鏡システムの情報処理システムが学習済みモデルによりランドマークを検出することで、画像中に明確な位置形状が表示されないランドマークの位置形状を画像上に表示する。
そして、内視鏡システムの情報処理システムが学習済みモデルによりランドマークを検出することで、画像中に明確な位置形状が表示されないランドマークの位置形状を画像上に表示する。