【特許番号】第6905224号 【登録日】令和3年6月29日
【発明の名称】工具損耗推定方法
工学部知能機械工学科加藤准教授が発明し、特許出願(長崎大学との共願)した「工具損耗推定方法」に関する技術発明が特許権を取得しました。
<本特許発明の要約>
切削加工において、切削工具に生じる摩耗やチッピング(微小な欠け)などの工具損耗は、加工精度を著しく劣化させるため、切削加工中にインプロセスで速やかに検知することが求められます。
これまでは、導電性材料でできた複数の細線が逃げ面摩耗の進行方向に直角方向に伸びるように配置されている工具損耗検知機能センサ付き切削工具等が提案されていました。しかし、測定分解能は細線間隔に比例するので、形成可能な細線の幅や間隔には限界があり、微小な摩耗の進行を検知することができないという問題や、消耗品である工具そのものにセンサ機能を設けるため、コスト的課題もありました。
本発明は、既に本学が特許取得済みの技術「静圧空気軸受スピンドル装置」(特許第5843233号)を用い、「スピンドルの所定の回転速度を保持するために必要な圧縮空気の供給圧力と工具の逃げ面摩耗量との対応を示す第1の関係式(図3(a))を求め、所定の加工距離における圧縮空気の供給圧力の測定値に基づいて加工距離と圧縮空気の供給圧力との対応を示す第2の関係式(図3(b))を求め、第2の関係式により、次の加工距離における供給圧力予測値を推定し、供給圧力予測値と第1の関係式を用いて次の加工距離での工具の逃げ面摩耗量を推定する」ことにより
(1)工具そのものにセンサを設けることなく、工具逃げ面摩耗量を加工中のインプロセスで推定することが可能となります。
(2)スピンドルに供給する圧縮空気の供給圧力の測定値が供給圧力予測値から外れたときに工具の異常摩耗であると推定することにより、工具そのものにセンサを設けることなく、チッピングなどの異常摩耗を加工中のインプロセスで推定することが可能となります。